日本の男性の育休取得率は約3%。
→2017年は5.14%になりました。少し伸びましたがまだまだ少ない。
(平成29年度雇用均等基本調査(速報))
しかも、大半は短期育休(数日の育休)です。
※関連記事はこちら
個人的には男性の育休はもっと広がると良いと思っています。
家族にも取得した男性にもプラスだなと。
そうはいってもなかなか課題が多いのが現状です。
そこで、海外に目を転じて、学ぶところは無いか、と考えました。
ちらほらと男性の育休が多い、増えた、などと断片的な情報を聞くこともあります。
改めて調べて、日本の父親の育児休業取得率向上に向け、
参考になる情報を探します。
調べていて特に目立つのは北欧の国の充実度合いでした。
古いデータですが厚生労働省も海外男性の育休調査をしています
少し古い(10年前)のデータではありますが
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0926-3c_0003.pdf
こちらに2008年時点の、厚生労働省のレポートがあります。
「諸外国における育児休業制度等の取得率」
という形で各国の取得率と制度についてまとめがありました。
まずはこちらが参考になりそうです。
少し情報が古いのが気になりますが、まずは
・確かなデータ
・その後の時系列変化を追う上で参考になる
ということでこちらを記載します。
2008年調査時点での海外各国の男性育休取得率
・イギリス:12%
・ドイツ:18.5%
・オランダ:18%
・スウェーデン:78%
・ノルウェー:89%
・日本:1.6%
※前提として国ごとに制度が違うので厳密な比較ではありません、あくまで参考です
やはり福祉国家として名高い北欧の取得率が高いです。
西ヨーロッパ系の各国は10~20%の間位のようです。
日本・・・
現在は3%位に倍増していますが、かなり寂しいですね。
インパクトを出すためにグラフにもしてみました。
日本・・・
各国の制度
数字はあくまで結果です。
どのような背景があってこのような結果になっているのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
意外と期間は短いです
諸外国における父親休暇(未定稿)という内容で、期間も記載されています。
(ただし、上にある国はイギリス、スウェーデン、ノルウェーのみ)
意外と短いですね。
もっと長い休暇もあるはずですが、上の比率の元になっているのは以下のような期間です。
もっと長い期間のものも知りたいですが・・・
(とはいえ、日本も大半が短期の育休なので比較としては良い気がします)
・イギリス:出産後8週以内に1又は2週間の休暇
・スウェーデン:産後60日以内に最長10日間の休暇 育児休暇としてパパ・クォータ(60日間の休暇あり)
・ノルウェー:出産後2週間(パパ・クォータ(6週間)あり)
北欧の取得率を伸ばした「パパ(・ママ)・クオータ制度」
パパクオータ制度という仕組みがあります。
北欧で男性の育休取得率を伸ばした実績のある制度です。
ざっくりというと
・所得補償のある休暇の権利が親になると発生する
・男性のみに権利が与えられた育休期間がある(これがパパクオータ)
・取得しないと権利は消滅する
・男性の育休取得中、母親は仕事に戻る必要はない(育休の取得が可能)
という仕組みのようです。
同じく厚労省の
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/07/dl/h0701-6a_0004.pdf
こちらの解説を踏まえると、例えば紹介されているノルウェーの場合
・最長44週間の育休の権利がある
・が、父親が育休を取らなければ6週間は消滅する→育休が38週?39週?になる
・父親が育休を取得すればその期間は母親も休める(父親が休まないと母親の休みも短くなる)
※クオータとはquota、割当のことです。
という制度のようです。
これを導入して4%程度だったノルウェーの育休取得率は大きく向上(約90%に)したようです。
改めて最新状況を調査しました
スウェーデンの男性育休状況
出典:https://www.huffingtonpost.jp/2017/12/08/swedish-dads_a_23301082/
2017年12月のインタビュー記事なので、新しい情報です。
スウェーデンの育児休業は、1日を8分の1に分割して取得することができる。これが日本との大きな違いだ。そのため、勤務は続けつつ「半育休」として両立させることができる。申請手続きは、社会保険庁に相当する機関のサイト上でできる。
男性が母親並の長期の育休を取得している率はまだ低いとのことです。
とはいえ、14%は日本の状況と比べると圧倒的ですね。
母親と同等の期間、育児休業を取得している父親はスウェーデンでもまだ14%しかいないんです。
そのうち390日間は休業前の給与の80%が社会保険制度から保証されている。スウェーデン文化交流協会によると、主に大企業などで残り20%を補てんする例もあるという。
https://www.huffingtonpost.jp/2017/10/31/swedish-dads_a_23254900/
給与の保証率はかなり高いですね。
日本は最初の6ヶ月は67%、後半は50%です。
日本の育児休業給付金についてはこちらで詳しく書いています。
80%が保証されている、企業が残りを補填する動きもある、
というのは男性の育休取得を促進する要素ですね。
男性が育休を取得しない理由の1つに、金銭的な課題がありますが、
ここまで保証されるとその懸念は少なくなるはずです。
ドイツはその後男性の育休取得率が向上しているようです
こちらの記事によると
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/08/germany_01.html
ドイツの父親の育休取得率は34.2%とのことです。
2008年の調査で18%程度だったので、ここ10年近くで倍になっています。
2007年に両親手当という形でパパクオータのような制度を導入しています。
両親手当の受給期間が2カ月だった父親の割合は79%
ということですので、期間は2ヶ月が標準のようです。
日本と比較すると長いですね。
更に2015年に制度が追加されています。
新しく導入された「両親手当プラス」は、時短勤務で両親手当の受け取り額が減っても、受給期間がその分延長されることで、早期の職場復帰を希望する親を支援する仕組みとなっている。
また、柔軟な取得もできるようになってきたようです。
新しい制度は国民にも好評とのこと。
制度によって男性の育休取得率を向上させられる好例ですね。
お隣韓国の男性育休事情
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2017/01/23/0200000000AJP20170123004400882.HTML
男性の育休取得率は8.5%。
かなり伸びてきているようです。
まだまだ西欧・北欧と比較すると少ないですが、日本よりは進んでいますね。
こちらも制度拡充を進めているとのことです。
男性の育休が日本以上に珍しい国も
こちらの記事では日本の男性育休の取得率に合わせて、
各国の人にインタビューをしています。
定量調査ではなく、定性的な感覚ですが、参考にはなりそうです。
https://news.mynavi.jp/article/20170331-a080/
特にイスラム教の国家では女性が育児をする、という観念が強そうですね。
男性の育休は珍しいと回答しているのは
・トルコ
・イタリア
・ウクライナ
・モロッコ
・エジプト
・インドネシア
・台湾
・韓国
・ベトナム
・インド
・キルギス
・モンゴル
・タイ
です。
逆に当然だよ、というのは
「ドイツ」「ポーランド」「フランス」の方でした。
まとめ:制度改革で男性の育休促進は可能
各国で様々な取り組みにより男性の育休取得率が伸びています。
パパクオータ制など実績のある制度の検討は日本でも進んでいるようです。
こうした取り組みが進むと日本の男性、父親への育休への意識も変わり、
徐々に男性も育休を取得しやすくなっていくと思います。
育休を検討している男性向けには他にも情報を書いています。
わかりやすいように、情報をまとめました。
ぜひご覧ください。